れぽてんの雑感

夏川椎菜さんと上田麗奈さんと小原好美さんのオタクで美也・エミリーPです

サマポケ備忘録③ ~静久ルート~

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 みなさんこんにちは、れぽてんです。iOS版「Summer Pockets」(サマポケ)の感想記事の3回目となります。1、2回目はこちら。

 


 今回は静久ルート。実は1週間くらい前に終わらせていたのですが、記事を書くのが遅くなりました。なぜかというと、正直に言えば感想が特に思い浮かばなかったからです(静久好きな人はごめんなさい)。紬、鴎に比べると、話のインパクトが少し弱かったかなという印象。「REFLECTION BLUE」でのルート追加ヒロインのうちの一人とのことで、無印の4人+αな感じなんですかね。もちろん話としてはしっかりしていましたが、どちらかと言えば、やはり補完的な意味合いが強いのかもしれません。

 

 ルートに入ってから少しして、どうやら記憶がカギになってくる(Keyだけに)というのは分かったのですが、またも勘違いをしてしまいました。私は途中まで「一週間フレンズ。」的な感じかと思っていて、「あのノートは自分の行動(相手からの相談内容と対応)を記録しているらしいし、それを見て過去の自分はこうだみたいに振り返れるようにしているのか?」と推理してみたりもしたのですが、真相はもっとオカルトでしたね。ここの部分も、最終的にどうだったのかは煙に巻かれてしまいましたが、静久(と羽依里)に懐いていたあの猫が終盤姿を見せなくなったというのは、考察材料の一つになりそうです。

 

 紬、鴎ルートと比べると、より「蝶」の謎に踏み込んだ構成になっていて、こちらもサマポケを進めるにあたって、並行して考えていかなければならないことのようです。羽依里に対し、静久が助けた猫の記憶を見せた青い蝶。あの回想シーンから、島の記憶を司っている(保管している?)存在なのかなとも思えるのですが、現状だとまだまだ謎に包まれていますね。蒼ルートなんかはかなり踏み込んでいるらしいので、楽しみです。

 

 紬との関係性も非常に良かったです。この2人は絶対にルート担当同じだと思います。羽依里、紬、静久の3人を誰一人欠けさせることないシナリオ。互いが互いを思いあっている描写も随所に見られて、「ヒロイン同士の横のつながりめっちゃ助かる」といった感じでした。また、紬ルートを先にやっていたので(上記の感想記事もぜひ)、紬のセリフで刺さるものがいくつもありました。

 

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 それと、イチャイチャが足りないという私の感想を「見ていたな?」というくらい、羽依里と静久がイチャイチャしていてビビりました。ルートの核心に迫る部分なので詳しくは書きませんが、静久が神様に願ったこととも関係しているのがまた良かったです。そうだよな、記憶が無くなるってことは何回でも初めての気持ちで相手に好きを伝えられて、イチャイチャできるってことだもんな。やったぜ。

 

 記憶の関係で言うと、無粋かもしれませんが、随所に「ONE~輝く季節へ~」の茜ルート(大切な思い出を忘れられる辛さ)、「Kanon」のあゆルート(「僕のこと忘れてください」)らしさも見られたような気がしています。そんなにKeyに触れている人間ではないので、勘違いかもしれません。ただ、サマポケはやはり下地にこれまでのKey作品があるような気がしますね。

 

 今回はここまで。進め方としては、のみき→蒼→しろは・・・とやっていこうかなと思っていますが、のみきとのイチャイチャシーンがあまり想像できない。あと、しろはとイチャイチャするまで私はこのゲームをやめません。それでは。

 

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水織静久……おっぱいだけの女ではなかった……

 

ミリシタメインコミュ85話を読んで

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 みなさんこんにちは、れぽてんです。今回は、11日にアイドルマスターミリオンライブ! シアターデイズに実装された、宮尾美也ソロ2周目となるメインコミュ85話「とおくとおくたかく」について書いていこうかと思います。とりあえず、現時点での気持ちの整理や保管という意味合いを込めて。↓は実装前日夜のニコ生後に勢いだけで書いた記事です。

 

wafumiru.hatenablog.jp

 

 さて、まず私が勘違いしていた点を告白します。私は今回のコミュが「初恋バタフライのコミュ」であることを期待していました。宮尾美也のソロ2曲目であり、初恋の繊細さや大胆さ、いじらしさを情熱的に歌い上げた名曲である初恋バタフライ。"宮尾美也が" "ハッピ~ エフェクト! に続くソロとして" "この曲を歌う意味" が、あるいは初恋バタフライという曲の一つの解釈が、今回のコミュで明かされるのではないかと思っていました。だからこそ、コミュを見終わって私は「???」となりました。そして、しばらく経ってようやく気付いたのです。そう、今回実装されたのは初恋バタフライのコミュ」ではなく「宮尾美也のメインコミュ」なのだと。あくまで語られるべきは初恋バタフライの解釈ではなく、"美也が" "渡された初恋バタフライという曲にどう向き合い" "何を思い、何を考え、どう動いたか" です。美也の行動、気持ち、そして成長が描かれているべきなのです。そこを私は勘違いしていました。

 

 上記の点を踏まえた上で改めて考えると、良いコミュだったと思います。「初恋バタフライのコミュとしては10点だけれど、美也のコミュとしては90点」というのが私の評価です。

 

 まず、「美也らしさ」がとても丁寧に描写されていると感じました。

 

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「分からないのであれば、知っている人・答えを持っている人に聞きに行けばいい」。当然と言えば当然、単純明快な解決策です。しかし、なかなか「他人に初恋のエピソードを聞いて回る」というのは実行に勇気が要るものだとは思いませんか? また、こういう「いくら考えても自分の中の知識で無理ならば、臆せず、恥ずかしがらず、他者に教えを乞う」という、おそらく多くの人にとっては難しいであろう基本動作を、大胆かつ最短経路でこなそうとするこの部分は、とても美也らしいなと思いました。

 

 次に、エピローグで美也から直接この言葉が聞けたことは非常に評価に値すると考えています(+38038億点。最高のコミュだが)。

 

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初恋バタフライという美也にとっては新しい世界となった曲。そのお披露目公演を見事に成功させ、美也は大きく成長しました。彼女はまだ17歳です。この先多くの経験をし、知らない感情や自らの新たな一面に気付いていくことでしょう。そしてこの言葉から、美也自身がそれらを望んでいることが分かります。歩みを止めるつもりなど微塵もないということを実際に言葉として美也から聞けたことが、私はとても嬉しかったです。

 

 

 

 さて、今回のコミュへの不満点と言いますか、消化不良の点です。そしておそらくこれは、私が初恋バタフライに「一人の女の子としての美也の完成形」を見ているがゆえのものだと思います。私は、このコミュの内容から「美也が初恋バタフライを歌っている姿」が想像できませんでした。「このコミュの内容を経て、じゃあ美也が初恋バタフライを歌えるようになるのか?」。

 

初恋を自分の中に見当たらないと言った美也(ここで私は宮尾美也女子高に通っている説を提唱します←)。

 

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あり得ないとまでは言わないけれど、17まで「初恋」がないとかある?

 

そして、ある種必要に駆られてプロデューサーに初恋をすると言った美也。

 

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新たな気付きをくれるプロデューサーは、美也が得た「初恋」に合致したらしい

 

この結論に至ったのにも、美也なりの思索があったろうことは理解しています(プロデューサーの発言に気付きを得てから、美也が結論を出すまでに一晩経っています)。ただ、"あの" 初恋バタフライという曲を、自分の中に気持ちが見つからないままで歌えるものなのか? コミュで描かれているのは公演までの一部なのだろうけれども、この経験だけで、あの曲を、あそこまで感情を込めて歌えるのか?

 

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初恋バタフライは """小指"""

 

 このコミュを「成長の過渡期にある美也が歌う意味」という文脈で捉えた同僚もいると聞いています。でも、うーん、CDの初恋バタフライの美也の歌声って、確かに17歳の美也のものだと思うんですけど、このコミュで得られる経験だけで込められる感情から出る歌声じゃないんですよ。だから違和感を覚えたのだと思います。それなりに初恋に似た気持ちが美也の中にあったというなら、17歳でも感情を込めて歌うことはできるとは思いますが、自分の中に一切ない気持ちというと難しいのではないでしょうか。でもアイドルだし、いざ恋の歌を歌うとなった時のためのレッスンは受けてるか……。うん、この問題は一生解決しなさそう。美也、20歳くらいになったらもう一回歌ってくれ……。

 

 

 

 結論も何も出ていませんが、今回はここまで。え? SSRのコミュも絡めたらもっと深い話ができるんじゃないかって? 190連引いても出ないんだよ。(注)

 

あと最後に、私は「美也はそれを恋と気付かないまま恋をして、失恋する時に初めて『そっか……私、好きだったんですね……』ってなってほしい派」です。美也、お前は無自覚に恋をして無自覚に失恋してくれ。それでは、またいつか。

 

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(注)(21.05.18 0:35 追記)

 

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ご報告:総課金額20,280円でした。

「初恋バタフライ」実装に寄せて

 みなさんこんばんは、れぽてんです。今、冷静に書いているつもりですが、心臓のドキドキと手の震えが止まりません。アイドルマスターミリオンライブシアターデイズ(ミリシタ)にて、明日15時に更新予定の「SONG FOR YOU ガシャ Vol.16」にて曲名カード「SSR 初恋バタフライ 宮尾美也」が追加されることが、さきほどの生放送で発表されました。同時にメインコミュも実装されます(注)。マジで言ってる?

 

(注)同日21時ごろ訂正。メインコミュの実装は12時でしたね。旧基準で考えていました。失礼しました。

 

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死刑宣告を受けた気分です

 

 私がミリオンの沼に、そして美也に興味を持った最初のきっかけが、美也のソロ2曲目である「初恋バタフライ」でした。初恋バタフライは私にとってとても特別な曲です。ミリシタへの実装をずっとずっと待っていました。それがこのタイミングで叶うとは露ほども思っていませんでした。震えが止まらない。ご飯を食べながら生放送を見ていたのですが、コミュの映像が流れた瞬間、米粒をリアルに画面に噴き出して叫んでしまいました。

 

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初恋バタフライが収録されているLTH06のジャケ写。宮尾美也は灼熱少女の一員である

 

 そして、美也Pであればおそらく、このSSR覚醒前絵に心を動かされないはずはないと私は思っています。時間はおそらく夜。レッスンスタジオに一人残り、汗を周りに散らしながら、真剣な表情で自主レッスンに励む美也。普段常に笑顔で、のんびりとした表情を浮かべることの多い美也ですが、この表情こそ美也の本質です。のんびりマイペースだけれども、自分の立てた目標に向かっての努力を絶対に怠らない。失敗があってもめげずに立ち上がる。周囲と少しずれた行動も時々する美也ですが、彼女なりの努力の積み重ねをしているのです。それが、この絵一枚に表れていると思います。今までの美也のどのカードよりも、どんなきらびやかなカードよりも、私には輝いて見えます。私はこの美也の表情を一生忘れません。この表情を描いてくれたミリシタ、本当にありがとう。

 

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世界一好きです。ありがとう

 

 蝶を意識した衣装、覚醒後絵もかなり完成度が高いですね。こちらも表情がかなり良い。大人と子どもの狭間である今の年齢(17)にしか出せない表情をしていると思います。また、こういった、ある種ロリータチックなふわふわした衣装も、美也が普段着ることのないタイプのもので、素晴らしいの一言しか浮かびません。

 

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17歳にしかできない表情をしている宮尾美也は最強

 

 現時点ではコミュでどこまで美也の内面に触れるのか分かりませんが、明日の15時を心待ちにしています。命を落とす準備はできている。宮尾美也Pとして、しっかりと見届けたいと思います。

サマポケ備忘録② ~鴎ルート~

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 みなさんこんにちは、れぽてんです。iOS版「Summer Pockets」(サマポケ)の感想記事2回目となります。前回はこちら。

 

wafumiru.hatenablog.jp

 

 今回は鴎ルート。ルート入ってから(8月6日から)3時間半くらいで終わって「みじかっ」となりました。

 

 全体的なもので言えば、「夏は冒険。そして冒険は一生の思い出」というのをしみじみと感じられる展開を見せつけられました。鴎ルートのワクワク感は異常。泣きというよりかは、楽しかったという印象が強いです。共通ルートでの鍵集めから始まり、宝の地図、洞窟探検、海賊船と、そういった体験を子どもの頃にしていなくとも、どこか懐かしさや高揚感を覚えさせるストーリー。全人類謎解きとか隠された秘密の場所とか好きなのよ。

 

 中盤までのある種ミスリード的な話運びもよかったですね。てっきり鴎と羽依里が昔実は会っていて、それを徐々に思い出していくのかなと思っていたら……。ただ、紬に続いてまたしても超常的な存在という展開で、そこで多少泣きが削がれてしまった面はあるかもしれません。でも終盤のあの種明かしには多少なりとも唸らされました。

 

 羽依里が鴎のために海賊船を完成させようと動く場面は、紬ルートとの一貫性を感じられて非常に好感を覚えました。紬ルートでもそうでしたが、羽依里の、ヒロインのために夏を懸けられる、信念を貫くという部分が鴎ルートでもしっかりと描かれています。ここがぶれると、要はルートごと(つまり書き手ごと)に羽依里の性格や言動が変わってしまうと、多少なりとも違和感を覚えるものです。ひいてはそれが作品全体の評価にもつながりかねない。その点において、両ルートともしっかりと整合性が取れていたように思います。……もしかしたら担当が同じなだけかもしれませんが。

 

 不満点ですが、鴎とのイチャイチャが足りない(紬ルート基準)。なぜだ、なぜ鴎はもっと照れたり甘えたりしてくれないのだ。なんだこの友達以上恋人未満な関係は。それはそれでいいですけれども。イチャイチャスピンオフ一生待ってます。でも鴎が「羽依里」って呼び捨てにするのは非常に良かったと思います。言い方がすごくいいんですよね。優しさと親しみ、ずっと昔から一緒だった幼馴染みたいな関係を感じさせる言い方。結局ここの理由は明かされませんでしたが、最後の手紙のくだりから説明できなくはなさそうです。実際に会ったことはないけれど、本当に昔馴染みだったということらしいですから。

 

 以上、相変わらず雑ですが、今回はここまでです。鴎ルートは夏と冒険というのをとても上手く描写していたと思います。あと、鴎の正体を知ってから振り返ると、紬ルートでもそれなりに鴎が出てきたのにも何かしら意味があるのではないかと思えてきますね。考察の余地ありでしょうか。

 それにしても、少しだけ話に関わってきた「蝶」というのはなんなのでしょう。進めていけばきっと分かると信じて、次は静久狙いで。あるかは知りませんが、紬ルートとのリンクを楽しみにしています。それでは。

 

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黒髪ロング、あまりにも最強

サマポケ備忘録① ~紬ルート~

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 みなさんこんにちは、れぽてんです。今回は知り合いのオタク複数人から激押しされたゲーム「Summer Pockets(サマポケ)」(iOS版)の感想を書いていきたいと思います。最初は紬ルートから。特に何がどうというわけではなく、単純に私が思ったことをまとめただけの記事です。他の子のルートに入る前にこの作業をやっておかないと、印象がまた変わってしまうかもしれないので。1ルートクリアするごとにこうやって書いていけたらと考えています。

 

 さて、Keyといえば当時中学生だった私をオタクに叩き落したブランドです。YoutubeCLANNADのOP映像に魅せられたあの時がすべての始まりだった……。ニコニコ動画で「ONE~輝く季節へ~」(澪、みさき先輩、茜ルートでアホみたいに泣いた。全部久弥担当じゃねえか)と「MOON.」(由依はいいぞ)の実況プレイを見たり、ちょうどRewriteが発売するタイミング(エイプリルフールのあの映像とかで盛り上がってましたね)だったこともあり、中3~高1くらいまでは本当にKeyに浸かっていました。

 ただお金もやる気もなかった私なので、実は腰を据えてしっかりとゲームをクリアしようとしているのは今回が初めてです。というか、樋上いたる氏が抜けてからKeyは特に追わなくなっていたので、薦めてくれたオタクたちには感謝しています。

 

 予備知識ほとんどなしで挑んだサマポケ1周目ですが、私は紬・ヴェンダースを最初のヒロインに選びました。ビジュアルが好みだったからです(金髪ツインテはいつの時代も最強)。それと、結構主人公が意味分からなくて面白かったです。一番最初の選択肢で「口説き方を忘れたホスト」を選んだのがあそこまで引っ張られるとは思わなかった……。

 

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無敵らしい。ルートを進めていくと分かるが、このシーンのやり取りも重要だった

 

 さて、紬ルートの感想ですが、告白シーンが最高に良かったです。主人公の「好き」という告白に対し、最初は照れながら逃げ、翌日向き合ってみてもどこかぎこちなく、上手く話せない。最後には「気持ちの整理ができた」ということで、まっすぐな好意をくれる。「らくしょーで大好き」というセリフがとても好きです。私が求めていたイチャイチャがここにあった……。紬と一生イチャイチャするスピンオフ待ってます。

 

 それと、随所に流れていた「アルカテイル -recall-」という楽曲がすごくいい。無印サマポケOP「アルカテイル」のオルゴールアレンジですが、サビで「歩き続けることでしか届かないものがあるよ」というのを思い出してしまい、静久、羽依里がずっとやっていた「紬のために夏休みにイベントを全部やる」という行動と重なって、流れるたびに泣いていました。紬ルートのあのラストは、2人が歩き続けなければきっと得られなかったものだと思います。

 

 アニメしか見ていませんが、紬ルートはどことなく風子ルートに似ているなと感じました。朋也、渚が風子のためにずっとヒトデ配りを手伝ったというのが被る被る。いつの時代も「ヒロインが何かしら超常的な存在で、消える前に最後の思い出を」みたいな展開は鉄板ですが、ゆえに扱いを間違えなければ泣けますね。

 

 不満点、と言っていいのか分かりませんが、共通ルートのボリュームのなさ、つまり主人公とヒロインを取り巻く各々の関係性、環境の掘り下げが少なく、個別ルートでの展開に多少性急さを覚えました。周囲が紬を助ける理由とか、静久との関係の深さとか、そのあたりですね。この点は今後、他ルートを進めていくことでまた印象が変わるかもしれません。

 

 あと、紬がちょいちょい行方不明になっていた理由、他の方の感想記事を漁っていて合点がいったのですが、紬の正体を知ってから考えると確かに、という感じですね。2周目をやるとまた別の発見がありそうです。

 

 雑ですが、今回はこんな感じで。かなり面白かったので、他のルートも期待大です。鳴瀬しろはとイチャイチャするまでサマポケ終われん。でも次は鴎かなー。それでは。

 

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しろはのこのセリフになぜか涙が止まらなくなりました

天海春香学会誌と私 中編

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 みなさんこんにちは、れぽてんです。今回は、前回の『天海春香学会誌と私 前編』の続きで、中編となります。

 

wafumiru.hatenablog.jp

 

中編では、私が寄稿したテーマの選定理由や「ここにはこういう思いを込めたんです」といった裏話的なもの、そして全体を通して、学会運営2氏とのインタビューでは上手く答えられなかった部分の補足とできたらと思っています。今回もお時間のある時にでも、のんびり読んでいただけたら幸いです。

 

④Cleaskyと「笑って!」 ~なぜこのテーマにしたか~

 寄稿を決めたのが昨年の7月ごろだったのですが、その段階でどのテーマで書こうか、いくつか候補は浮かんでいました。

 

天海春香という普通、アイドルという特別

・ムビマスにおける「私は、天海春香だから」の真意

・実は似ているところが多い宮尾美也天海春香

・Cleaskyカバーから考える「笑って!」の再解釈

 

 1つ目は、Vol.1の時点で題材として何人かの方が取り上げていましたが、私が考えているものを少し書きます。天海春香といえば「普通の女の子」と説明されることが多いですが、一方でアイドルという職業は「特別」です。「特別な人」にしかなれないものです。「普通の女の子」である春香さんが「特別」であるアイドルをやっている、あるいはやれている。そして人気を得ている。逆から考えれば、アイドルという「特別」を提示されてなお、我々は天海春香に「普通」を感じている。このギャップを埋めるもの、説明できるものが書けたらという思いでした。なお、あまりにも難解だったので断念。

 2つ目は、ムビマスを見た時に真っ先に抱いた疑問でした。普通に考えれば「私は、私だから」と言うと思いませんか? 私が導き出した結論は「春香さんは『天海春香』という存在を、自身から切り離して考えている」というものです。究極の客観視と言ってもいいかもしれません。もちろん、天海春香天海春香です。しかし、このセリフから、そしてムビマスの一連の展開から、春香さんの理想の中に「765プロのリーダーとしてのあるべき天海春香」というものが存在しているのではないかと私は考えています。そして、若干飛躍しますが、ここから「理想の『天海春香』にたどり着けず、振り回され絶望する春香さん」というものも見えてくるのではないかと思っています。しかし、この結論に至らせるまでの積み上げをできる気がしなかったので、見送りました。

 3つ目は、私が美也Pであるという一点をアドバンテージに、誰とも被らなさそうなものを考えた時に思いついたテーマです。ちなみに「春香さんと美也の共通点を無理やり見つけて文章にしても、私が納得できない」という理由で却下しました。この「春香さんと美也の共通点」については、後編で書く予定の天海春香学会誌作品感想でまた取り上げられればと思っています。

 4つ目が、今回書くことを決めたものです。浮かんだ4つのテーマの中で一番、他の誰も書かなさそうなもの、美也Pである私だからこそ書けるもの、何より私が書きたいと思ったものだったというのが理由です。・・・正直に言うと、“あるお一方”には絶対に刺さるという確信が持てたというかなり打算的な理由もあったりします笑。さすがに寄稿した文章が誰の心にも残らなかったら悲しいので。もちろん、読んだ人全員を唸らせるつもりで書く気概でしたし、その自信もある程度はありましたが、おそらく春香さんについては一文字たりとも書かないということになるであろう文章がどう思われるのか、とても怖かったというのがあるので、心の支えになりました。この場を借りて感謝を伝えさせていただきます。

 

⑤寄稿文に込めた思い、ついでに補足

 この文章で伝えたかったもの、書きたかったことはおおまかに分けて2つありました。Cleaskyに「笑って!」が充てられた理由を誰もが納得できるものとして「正解」を叩きつけること、6thのASカバーが私にとってASを知ろうと思う入り口になったので、カバーを100%肯定しなくてもいいから、そういう人もいるんだということを知ってほしかったということ、です。前者に関しては、私はこの寄稿した文章が「答え」だと思っていますし、これ以外の解釈があるなら「教えてほしい」というかなり上から目線の気持ちがこもっています笑。逆に言えば、それほどの説得力を持たせられた、説得力を持たせるに足る事実の積み上げをした、できたという自負があります。ただ、だからといって、違う角度からのアプローチや解釈を受け入れないというわけではありません。そこは柔軟に考えたい心積もりです。一方、後者に関してですが、これは寄稿文の「4. おわりに」で書いたことが全てなので、改めて言うことはありません。一側面だけを見て今回のカバーを100%否定ということは、どうかしないでほしいという思いです。

 

 それと、文章中に自分でも「これ読んでる人何言ってるか分からんな」と思いつつ、かといってそれ以上どうしようもなくてそのまま提出した箇所があるので、そこの補足をできればと思います(※ここは完全に私の文章を読んでいる人向けのところなので、スルーしていただいても問題ありません)

 歌詞考察の3パート目、「突然の着信『昨日見かけたよ!』って これもまた運命だね? 勇気をくれた」の部分です。「突然の着信~~~」の箇所は、Cleaskyに当てはめるなら、「着信」を「手紙」に置き換えるのがまず無難でしょう。次に「昨日見かけたよ」というのをどうするか。「昨日見かけたよ」というのは、内容的にはかなりポジティブで「『離れた相手とのつながりを改めて求めている』と取ることができる」と私は考えました。まあ、そもそも「昨日見かける」というのがCleaskyの2人に関しては不可能という前提はありましたが。そこで、私の考察箇所を改めて分かりやすく書き直すならこうです。「突然の美也からの手紙。内容は『エレナさんにまた会いたいです』といったものだった」。

 さて、「これもまた運命だね~~~」です。正直、ここをエレナが歌ってくれていたらもう少しスムーズな解釈ができたかもしれません。ただ字面通りに捉えればいいのですから。しかし、ここを歌っているのは美也です。これはもう「ごめんなさい無理やりな解釈ですけどこれが限界だったんです」と言うしかありません。とにかく解説します。この箇所を「明日会いにゆこうかな」のアンサーだと書いたのは、前述の「突然の着信~~~」の自身の解釈を受けてのものです。明日会いにゆこう「かな」は内々の気持ちで、かなりふわふわしたものですが、出した手紙にはおそらく「会いたいです」と断定した気持ちを綴ったと思うのです。この気持ちの移り変わりを「運命」というワードに当てはめました。「勇気をくれた」は「手紙を出したという事実それ自体、あるいは手紙を書く過程で自分の気持ちを文字にしていくという作業、そういった行動が背中を押してくれた」という風に解釈をしました。

 ・・・補足になっていれば幸いです。

 

⑥そして反響の大きさにビビる

 ④でも書きましたが、この文章は「少なくともあの方には刺さるだろうな」という気持ちもありつつ、読んだ人全員に刺さればいいなと思いながら書いたものです。自信はありましたが、やはり実際に反応をいただけるとなかなかどうしてうれしいもので、運営2氏が行っているインタビュー企画で、私の作品を挙げてくださる方がとても多いのです。「あ、良かった、ちゃんと刺せたんだ」ととても安堵しました。

 そんな中で、私の作品を「ラブレター」という言葉で説明している方がいて。私にその気持ちは全くなかったですし、そのワードが浮かんだこともなかったのですが、なんというか「見透かされた」気持ちになって、少しドキッとしました(ワードのせいかもしれませんが笑)。

 

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また、寄稿文の「1. はじめに」で私は美也Pであることを明記しました。

 

 

そして、これをあまり気持ちよく思わなかった方がいたという事実が、私にとっては新たな知見となりました。

 

note.com

 

私にとってこれは「天海春香を大好きな人たちが集まっている、天海春香が詰まった同人誌に参加するにあたって、春香Pではない自分が参加することに対しての礼儀」でした。名刺代わりといった感じでしょうか。私はこの文章を、美也Pであることを明かさずに書くことはできませんでした。というのも、私の文章は「春香さんについては何一つ書いていない」文章なのです。なので、「これを書いたやつは誰だ。そうか美也Pか」みたいに思ってくれたらなという気持ちがありました。春香さんについて書いた文章なら、私はこういった「自身の立場の明示」はしなかったでしょう。

 

⑦今、思うこと

どうしてこの曲が選ばれたのか、どうしてCleaskyがこの曲を歌わせてもらえたのかっていうのが、歌詞に結構、所々こもってるので、ぜひ、一回ドラマパートを聞いた上で「笑って!」の歌詞を見直していただければ。

(ミリオンライブ6thツアー仙台公演Day1より、「笑って!」歌唱後の島原エレナ役・角元明日香さんのMC)

 

 私はこれに応えるために、あの文章を書いたんだなって思います。

 

 

 

 

 

 今回はここまで。次回後編では、天海春香学会誌の中で、私が「いいなー」と思った作品たちの感想を書いていけたらと思います。春香さんと美也の共通点の話もできれば。それでは、また次回お会いしましょう。

 

上田麗奈の色と世界 ~現地で感じたImagination Colors~

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 みなさんおはようございます、こんにちは、こんばんは。れぽてんと申します。3月14日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催された上田麗奈1st LIVE「Imagination Colors」に行ってきました。今回はその感想を書いていきたいと思います。一言で言うならば、私が神と崇めている夏川椎菜の「プロットポイント」や水瀬いのり2ndツアー武道館公演と同等か、それ以上に心を揺さぶられました。Twitterなどで私の言動をご存じの方は、私がこういった物言いをするということの意味をなんとなく察してくれるのではないかと思っています。

 

 私は、前の週の6、7日には代々木第一体育館でのTrySailのライブに参加していました。TrySailの現地ライブは実に1年8ヵ月ぶりでとても楽しみにしていましたが、正直に言うと、期待感やワクワク感は上田麗奈ライブ前の方が大きかったです。それは、私が久しく「初めて行くライブ」というものを体験していなかったからだと思います。TrySailのライブにはこれまで何度も行っているし、「推し」をそんなに増やしてもこなかったので、「そのアーティストのライブ」自体には行き慣れてしまっていたのです。「初めては何物にも勝るスパイス」とはよく言われていますが、上田麗奈は正真正銘1stライブでしたし、何より上田麗奈の楽曲はこれまで私が聞いてこなかった類の曲調、世界観で、純粋に曲を聞くのが楽しみでした。あの独特の世界観を自分のものとして歌える上田麗奈の世界観に触れられるチャンスに、私はとてもテンションが上がっていました。

 

 以下、演出やセットリストなどのネタバレありで感想を綴っていきます。ライブのアーカイブが21日まで配信されているので、チケットを購入して、視聴されてから読むことを強くおすすめします。それでは、長くなりますがお付き合いいただければ。

 

eplus.jp

  

上田麗奈の世界

 会場に入って、まずその雰囲気に思わず息を吞んだ。かかっているのはどこか落ち着く音楽。照明は会場を青く染め、深海のような雰囲気を演出する。ステージに掛けられたカーテン越しに見えたステージには階段、植物、蓄音機、椅子といった小道具が。この時点ですでに「上田麗奈の世界観」が表されていた。

 開演まで残り5分ほどになった頃、注意事項のアナウンスが終了すると同時に、これまでの落ち着いた音楽から様子が変わり、少しずつ波の音が激しくなってきた。カーテンには波の模様が。徐々に落ちていく照明。さらに激しさを増す波。そして、世界が青い明るさを取り戻すと同時に始まったのは「海の駅」。ステージのセンターに登場したのは、白い衣装に身を包んだ上田麗奈。マイクスタンドには植物が絡まっている。そして、1番が終わるとともにカーテンが下ろされ、見えたのは大樹と木々の植え込み。ここでようやくステージの全体が明らかになったのだが、思わず「これが上田麗奈か・・・」とうなってしまった。

 その後始まったMCでは「座りながら、寝ちゃってもいいですからね」と観客の笑いを誘いつつ、早々に次の曲へ。移動して、椅子に座って始まった曲は「sleepland」。TVアニメ「メルヘン・メドヘン」のEDだったと記憶しているが、キーアイテムの「本」を手に持ちつつ丁寧に歌い上げ、そのまま「fairy taleの明けに」につなげる。「fairy tale、おとぎ話、なるほどな」と一人で勝手に納得してしまった。本を置き、椅子から立ち上がり、ステージ奥の階段へと小走りで駆け、さらに「誰もわたしを知らない世界へ」「花の雨」「たより」「きみどり」を続けざまに披露。しっとりと、それでいて楽しそうに歌っていた上田麗奈がとても印象に残っている。

 「Falling」でステージから一度捌け、再登場と同時に始まった曲はラジオ「ひみつばこ」のEDでおなじみの「ティーカップ」。くるくる回る上田麗奈はかわいすぎて声を上げそうになるので、あまり軽率に回らないでほしい。衣装がふわってするのがかわいい。そしてここから一気に雰囲気が変わる。「aquarium」「旋律の糸」「毒の手」「車庫の少女」。どこか不気味にも思える雰囲気を持った曲たちで、特に「毒の手」は赤い照明の明滅とともに強く記憶に残っている。これら4曲は上田麗奈という人の普段の様子からはおよそ想像できないような楽曲群で、CDで初めて聞いた時はとても驚いた。しかし「上田麗奈が歌っても違和感がない」と思えるほど、しっかりと曲を自分のものにしていたし、説得力があった。そして今回のライブ、これら4曲はまさに上田麗奈の曲だった。灰色の世界に、たった一人たたずむ上田麗奈は、ただ一言、圧巻だった。

 「Another」をはさみ、「いつか、また。」「アイオライト」「あまい夢」「ワタシ*ドリ」と、ここからようやく普段の上田麗奈から想像できるような楽曲たちが続く。アイオライトでは「色づけ世界 こぼれ出した光は煌めきだした カラフルに」で白と青の照明が会場を照らし、木が虹色に染められたりと、歌詞とリンクしたステージングも見せてくれる。「あまい夢」では走って階段に向かううえしゃまがかわいかったし、サビで会場(と配信)に向かって手を振るうえしゃまが超絶かわいかった(急激な語彙力の低下)。

 そしてここでようやく二度目のMC。まさかノンストップで来るとは。「一気に駆け抜けてきました」、「sleeplandから始まった夢の世界はいかがでしたか」などなど、2~18曲目までが一つの世界観であることをうかがわせるMCから、ステージは終盤戦に。「マニエールに夢を」「あなたの好きなメロディ」。あなたの好きなメロディでは2番終わりの間奏からステージに桜の紙吹雪が降り注ぎ、木が桜色に色づく演出が。そんな中で歌う上田麗奈は、月並みな表現しかできないが、とてもきれいだった。最後に深いお辞儀をして、ライブ本編は幕を閉じた。

 

 これまで「世界観を壊してはいけない」と拍手を一切してこなかった(あるいはできなかった)我々だったが、終わった瞬間、堰を切ったように拍手の音を響かせる。この拍手の大きさがライブのすべてを物語っていたように私は思う。そして、鳴り止まないアンコールの手拍子に応えてかかったイントロは「リテラチュア」(ここで思わず「それ!!!!」のクラップをしてしまったのは内緒。でも散々我慢してきたし、もうライブ本編終わってるしいいでしょ)。そして「Campanula」を歌い終わり、最後のMCへ。「デビュー当時はライブをすることになるなんてほんと思ってなくて」、「一人じゃ無理だった」と思いを吐露した後、「今回のライブは泣かないって決めたのっ!」なんてあえて言ってしまうのは実に上田麗奈らしく、なんだか微笑ましかった。「チーム上田麗奈に支えてもらってここまで来られた」との思いを涙ぐみながらもしっかり言い切り、「みなさんもなんですよ? みんな含めてチーム上田麗奈なんです」と話した彼女(泣いた)が最後に選んだのは「Walk on your side」。この曲で初めて観客にクラップを促したというのが、このライブの在り方を象徴しているように思えた。そして最後に深くお辞儀をして、配信先のファンにも笑顔を忘れず、鳴り止まない拍手を背に彼女はステージから静かに去っていった。

 

 正直言うと、全曲ライブの期待はしていたものの、披露されるのは15曲くらいかなと勝手に思っていた。ラジオで「たくさん歌うのって大変なんですね」と口にしていたのを聞いていたし、だからこそまさかここまでのものを見せてくれるなんて夢にも思わなかった。約2時間、ひたすらに圧倒された。スタンディングもペンライトも、拍手すら必要ない。むしろあっても邪魔にしかならなかったと思う。ライブというか、演劇や舞台というか、ひとつの「芸術作品」を見ていたような、そんな気持ちになった。私は彼女のファンになってから1年に満たない、ひみつばこから入ったにわかファンだが、それでもかなり刺さった。心を揺さぶられまくった。私はこの1stライブがアーティスト・上田麗奈の完成形と言っても過言ではなかったように思っている。ただ、どうやら夏にニューアルバムを発売するらしい。まだまだこの先、上田麗奈がどんな世界を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。

 

・余談と戯れ言 ~夏川椎菜のライブが刺さった奴は見ろ~

 曲の世界観をステージで表す。セットリストにその人自身のストーリーを反映させる。今回の上田麗奈のライブを見ていて、私が真っ先に思い出したのは夏川椎菜の1stソロライブツアー「プロットポイント」でした。さて、ここからはライブそれ自体の感想ではなく、ライブを見て私が思ったことを書かせていただきます。夏川椎菜のライブと上田麗奈のライブ、並列して語らせてください。

 

 夏川椎菜のライブは言うなれば「劇」。所々に挟み込まれるパンダとヒヨコツインズの掛け合いや、本編最後のパレイド→ファーストプロットの流れに代表されるように、あれは夏川椎菜という声優アーティストの、同じユニットで輝きを放つ2人に挟まれ、もがきあがいてきた“普通の子”の軌跡だった。舞台や演出に関しては彼女が案を出したそうだし、だからこそ強く「夏川椎菜」が表されていたステージだった。彼女がどれだけの努力をしてきたかをずっと見てきたファンからすれば、あのライブで心を動かされないことはないと言っていい。断言できる。それくらい彼女自身を反映したライブだった。笑顔で「ファーストプロット」を歌う彼女の姿を見て泣かないファンはいない。

 

 一方、上田麗奈のライブは絵画というか、「芸術作品」だったように私は思う。「劇」と言えるほどストーリー性が前面に出されていたわけでもなく、「舞台」と言うには上田麗奈その人自身が反映され過ぎていたような。正直上手く言えない。ただ「海の駅」から始まり「あなたの好きなメロディ」で幕を閉じた本編は、ただただ美しい世界だった。拍手はもちろん、呼吸すら邪魔に感じるほど、「上田麗奈という人が見せる色や世界を、ただ見ていただけ、感じていただけ」だったのだ。

 私はライブを「アーティストと観客でつくるもの、一緒に盛り上がるもの」と思っていたし、これまで参加してきたライブはすべてそうだった。ペンライトを振る。クラップをする。コールをする。「推し」の名前を全力で叫ぶ。「推し」の一挙一動に身もだえる。私にとってはそれがライブという場だった。だからこそ今回、ただステージを見せられただけ(あえてこう表現します)のライブにこれほどまでに圧倒され、心を動かされ、目を離せなくなったことが自分にとっては新しい発見だった。コールがなくてもこれほど楽しめるのだと、コロナ禍のライブとはこれだと、そう思ったりもしたのだ。声も満足に出せず、ライブを、現地を100%楽しめない状態が続いていた私には、今回の上田麗奈のライブがあまりにも深く刺さった。

 

 とにもかくにも、2人とも世界観重視のステージングとライブパフォーマンスをするタイプなのだ。だから、ただ一つ言えることは、夏川椎菜の「プロットポイント」が刺さった人間には確実に、上田麗奈の「Imagination Colors」は刺さる。

 

・最後に

 ライブのアーカイブ配信は21日(日)まで。絶対に心を揺さぶられます。刺さります。まだまだ遅くありません。本当に、本当に一人でも多くの人に見てほしい。心からそう思っています。